染まった(日本語訳:『染、色』観劇してきました)

※現在東京グローブ座、6/24〜梅田芸術劇場で上演中、上演予定の舞台『染、色』のネタバレを含みます。あとすごい長文。
観劇予定の方、及び配信待ちの方の観覧は自己責任にてお願いいたします!!あとすごい長文です。



こんばんは、わたしです。

f:id:mf_6i:20210605193516j:plain


6/5(土)15:20。ついに私は舞台『染、色』を観劇し終えた世界を迎えました。
前日の夜、完全に夜公演だとばかり思っていた私は明日は16:00に家を出るんだ〜なんて言ってて、ふとQRを確認したら昼公演って書いてありました。どんなドッキリ?(確認不足)


実はわたし、舞台を観るのがすごく苦手です。他人が演じる他人の人生を浴びてしまうとキャパオーバーで脳がオーバーヒートを起こすのか、ぶっ倒れます。
でも今回『染、色』を観劇させていただいたこの経験はすごく貴重なものになりました。(左手に他人の人生を浴びた証の傷があって引いた)


ちなみに今回、原作は読まずに舞台『染、色』の観劇をしました。観劇が決まってから何度か読もうと思ったのですが、固定概念が生まれるのがやっぱり嫌で。勇気がなかった…

観劇直後の感想は
なにも、わからない



まず場面展開が早い。深馬くんの人生が大きく展開する裏で真未の人生が展開し、そして同時に杏奈ちゃん、北見くんと原田くん。そして滝川先生の人生が展開していく。
ひとつひとつのシーンのたびに答え合わせ、または整理する時間が欲しい。


いろんな場面がすごい勢いで展開する中、わたしが1番最初に引っかかったのが深馬くんと真未が出会うシーン。ここにくるまでのシーンでわたしの中で「みうまくん」という名前がすごく印象に残っていたのか、深馬くんの「名前は?」に対する問いに「真未」と答えた時、身震いがしました。
深馬くんと真未の名前を並べた時、「みうま→まみ→みうま」と永遠にしりとりができ、かつ「みうま」の中に「まみ」が含まれていることに気がつきました。
深馬くんと真未には何かしらの繋がりがあり、かつ深馬くんの中には真未がいる、いなければならない存在なのかな〜と…

ちなみに話が展開するにつれて、これに気づかなければどれだけ良かっただろうと後悔することになります。



真未と対比して描かれる女性が彼女である杏奈ちゃん。登場人物の中で唯一『芸術を生み出すことが日常ではない』女性。台詞の中でも腕についたスプレーを見て「汚れ」と言ったり、「(絵を描き終えるまでに)1ヶ月って短いの?」と言ったり、一歩間違えれば逆鱗に触れるような危なっかしいイメージ。(現に1回深馬くんに怒られてた)



真未と出会った後の深馬くんの変化はすごく分かりやすかった。台詞にもあったけど「明るくなった」点。そして服装。
杏奈ちゃんと過ごしてきた深馬くんは白に近い色の服を着ていたけど、真未と出会った後は黒に近い暗い色の服になっていって、どんどん真未に染まる深馬くんは見ててしんどすぎでした…

でもそんな深馬くんも真未と絵を描いている時だけは生き生きとしていて、深馬くんから唯一『生気』を感じられるのはこの話の中でこの時しかないと感じました、あとは死んでた。


その後グラフィティアートを通した人との繋がり、人間の持つ裏表がどんどん展開されていき、飛んで最後のシーン。
脳が鈍器で殴られるような衝撃のラストシーンでした…



自分が信じていた真未は自分が生み出した偶像であり、存在しない存在。これが分かった時、この人はどうなってしまうんだろうと思いました。正直、命を絶ってもおかしくないとすら感じます。

真未と描いた作品は、深馬くん1人で描きあげたもの。真未が壊した作品は、深馬くん1人が壊したもの。そして真未の部屋で過ごした時間は、深馬くんが1人で過ごした時間。

作品は残っているし過ごした形跡はある、けど目の前に真未はいなくて、それは自分を守るために生み出した存在のないもの…と気づいた時、悲しさや寂しさよりも先に恐怖でした。


しかも結局最後まで、深馬くんはパンツは黒に見えたけどインナーは白、アウターは深い紺色で、全身真っ黒に染まることができてないのがすごい辛かった。


真未の存在に関しては様々な見解ができる中、わたしは深馬くんが絵を描ききれないという不安から守るために生み出した人格だと思ってます。要は二重人格。「みうま」くんの中に「まみ」がいるように。



ここまで書いてみてもやっぱり「何も分からない」、これが加藤シゲアキの世界なのかななんて感じました。100人観てたら100人の見解があるよね、それが芸術のいいところであり、嫌なところだな〜〜〜たった一回で理解するには理解力が足りなかった…


最後に
こんな状況にも関わらず幕を上げるという決断に感謝を、そして最後まで何事もなく幕が上がり続けますように。

素敵な時間をありがとうございました!